- うち
- I
うち【内】※一※ (名)(1)空間的に設定されたある範囲の内部。 内側。⇔ そと「部屋の~にこもる」「屋敷の~には他人を一歩も入れない」(2)時間的に設定されたある範囲の内部。 あいだ。
「若い~が花だ」「朝の~に仕事をすます」「ぐずぐずしている~に日が暮れてしまった」「会議は混乱の~に終わった」
(3)抽象的に設定されたある範囲の内部。 領域内。⇔ そと「これも仕事の~だ」「そんなのは親切の~にはいらない」(4)具体的な事物についてある範囲を限定し, その範囲内で事が考えられるべきことを表す語。 なか。「三人の~で一番背が高いのはだれか」「メンバーの~のだれかを代表に指名して下さい」
(5)心のなか。 内心。「~に秘めた情熱」「~にこもった怨念」
〔(1)~(5)は「中」とも書く〕(6)自分の所属している, 会社・役所・学校などの団体や機関。⇔ そと「~の社長」「~の学校」(7)内裏。 宮中。「相撲(スマイ)のことにより~にさぶらひつれど/蜻蛉(下)」
(8)天皇。 みかど。「しばしこの事もらし侍らじ。 ~にも奏せさせ給ふな/源氏(賢木)」
(9)(ア)妻。「こなたも~(=自分ノ妻)ぢやと思し召しては, 又例の我がままが出ませう程に/狂言・右近左近(虎寛本)」「お袋さまやお~さま(=奥様)が, はやはや, お大体(タイテイ)さまではござりませぬ/滑稽本・浮世風呂 4」(イ)(自分の)夫。 「わたしらが~なんぞは出好きでの/滑稽本・浮世風呂2」
(10)仏教。 仏者の側から儒教など仏教以外の教えを「そと」「ほか」というのに対する。「~には五戒を保つて慈悲を先とし, 外には五常を乱さず礼儀を正しうし給ふ人なれば/平家2」
※二※ (代)一人称。 わたし。 主として関西方言で, 女性や子供が用いる。「~が悪かったんや」
〔もともと「なか」が前後・左右・上下などの両端を除いた中間部・中央部をいうのに対して, 「うち」はある範囲の内部をいう。 古くは「と(外)」と対立していたが, 中世以降「そと」「ほか」と対立するようになった〕~に省みて疚(ヤマ)しからず〔論語(顔淵)〕自分の心の中を振り返ってみて良心に恥じるところが少しもない。~裸でも外(ソト)錦(ニシキ)家の中では質素な身なりでも外に出る時には立派な着物を着なければならない。 世間体を考えなければならない。~広がりの外すぼまり内では大きく構えて威張っているが, 外では縮まっていること。 また, その人。 内弁慶。~を出(イ)で違(チガ)・う訪ねて来る人を避けて, わざと入れ違いに自宅を出る。~を外にする外出ばかりして家にいることが少ない。 遊蕩者などにいう。IIうち【家】〔「うち(内)」と同源〕(1)家屋。 人が住むための建物。「空き地に~が建った」
(2)(ア)自分の家庭。 我が家。「~ではみな六時に起きる」「~の者は朝から出かけてしまった」(イ)(一般的に)家庭。 家族の住んでいる場所。 「あなたの~では正月にどんな料理を作りますか」「そろそろ~に帰りなさい」
~を空(ア)・ける外出や外泊をして家にいない。IIIうち【打ち】〔動詞「打つ」の連用形から〕動詞に付く。(1)下の動詞の意を強める。「~しおれる」「~寄せる」「~捨てる」
(2)下の動詞の意を軽くする。 ちょっと, 少しなどの意を添える。「~見る」
(3)下の動詞の意味を抽象化する。「~明ける」「~とける」「~けす」
(4)語調をととのえる。「~連れる」「~まぎれる」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.